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リモートワークで生産性高く幸せに働くためのポイント

「リモートワークをしながら、いかに生産性をあげるか」
「物理的な距離があるメンバーと一体感を持って働くためにはどうしたら良いか」
 

テレワーク、リモートワークが標準化されつつある企業が増加していることから、それに合わせて上記のような問題提起からの研修をご依頼いただくことがここ2-3年で増えている。
 

私自身は2007年からシリコンバレーに本社がある外資系企業の日本法人で長年働いていた経験があり、リモートワークは違和感なく日常の一部として存在していたし、何らリアルワークと変わらない成果を出していた自信がある。今日は、リモートワークで生産性高く働くためのコツ、をテーマに少し書いてみたいと思う。


私が当時勤務していたシスコシステムズという会社は「テクノロジー」x「企業文化」x「ルール」がリモートワークにおける成功の3要素だと早い段階から唱えており、社員もグローバルレベルでリモートワークをフル活用していた。インドで働く仲間や、アジアパシフィックを管轄しているシンガポール勤務の仲間を交えたミーティング、時差のあるサンノゼの同僚との1 on 1。もちろん国内にもリモートワークをする仲間は、子育て世代や介護世代に関わらず沢山いる。大阪メンバーとテレカン(この言葉、今も使うのかな。)、東京の自宅から互いにテレカンでミーティング、は本当に文字通り日常だった。振り返って見ると、改めて素晴らしい会社だったと思う。
 

type就活:シスコとは?https://typeshukatsu.jp/company/1215/

シスコシステムズHP https://www.cisco.com/c/ja_jp/index.html


2007年、今でいうジョブ型雇用で中途採用された、当時1歳半の子供がいた私は、何と入社して2ヶ月で第2子を授かることになる。

パフォーマンスも上げていないのに、乳幼児を抱えた上に、妊婦になったのだ。だが、自分が負い目を感じているのとは裏腹に上司や同僚は私への対応を一つだに変えず、一同僚として、引き算することも足算することもなく、「あなたのライフプランだから」と敬意を持って接してくれた。これこそがシスコの企業文化だったのだろう。当時の上司や仲間には今でも感謝の気持ちでいっぱいだ。


“Changing the way we work, live, play, and learn.” ~人々の働き方、生活、娯楽、学習のあり方を変える~

 

これはシスコのミッションステートメント。ミッション、ビジョン、バリューの浸透が企業経営において大きな肝であることはよく分かる。

そんな私は、産休までの8ヶ月余りで社内の人間関係を構築し、出産後、3ヶ月の産休を経て復職した。復職と言っても週3日はフルリモートの在宅勤務。当時WebExはあったけれどコミュニケーションツールの中心はチャットと携帯電話という時代だった。そして週2日は、ベビーシッターさんに娘を家で見てもらい数時間出勤、という形態を娘の保育園が決まるまで続けた。

それまでの間、一緒に働く仲間との関係性を築く上で私なりに気をつけていたことを思い出して書いてみよう。

①自分の置かれた状況や意思を明示する。

自分がオフラインになってしまう時間帯をその理由と合わせてOutlookカレンダーに明示する。例えば娘の予防注射だとか、通院だとか、そんなことも事細かく書いていた。それ以外で離席する時は、連絡可能なツール(携帯のみなど)も記載しておく。この人、メッセージ送っても返ってこないし、電話しても出ない。何しているんだ?と思われないためにもスーパーオープンな状態を意図的に作っていた。そして「私はみんなと働けることが嬉しい。幸せだ。」ということも折に触れて意思表示していた。間違っても「子育てと仕事の両立は大変だ」などと仲間の前でボヤいてはならない。だって自分自身の選択なのだから。

②携帯電話はいつでも取れるようにしておく。最優先。

留守番電話に設定に「メッセージを残してください。18時までに必ず折り返します。」などのレコーディングをして「この人は絶対にその日中に会話できる」と思ってもらうための啓蒙活動をしていた。「あー、また繋がらないや。どうせ無理だから次からはメールにしよ。」と好まぬ遠慮をされないためにも、当時の私はそれを意識していた。一にも二にも、信頼を失う行為を避けたかったのだ。信頼とは、得るのには時間と経験が必要だが、失うのはあっという間。

③オフィスで私の代わりに働いてくれる人への感謝の言葉を忘れない。

自分の代わりに荷物を受け取ってくれたり、他部署からの伝言を受けてくれる同僚の存在を忘れてはならない。対応をしてくれた時は、必ずお礼のメールをして出社したときには席に行って言葉をかけた。

④離れているからこそ、自分の成果はフルに開示する。

当時はクラウドサービスがまだなかったので、誰もが閲覧できる共有フォルダに格納していた。自分が作った資料、まだ仕掛り途中の資料も(Work in process~作業中~)と書いてアップしていた。今週の取り組み、など見たい人はいつでもどうぞ、という日本語では何と表現するのかな。Openness(オープネス)、つまり自己開示とでもいうのかな。リモート勤務において自己開示はとっても大事な要素だと私は感じている。

⑤手が空いている時は、チャットやグループメールで「自分に今できることはないか?」と意識して発信する。

オフィスで何が起こっているか分からないからこそ、積極的に自分からストロークを出して、手伝えることがないかを確認するスタンスはとっても大事だと思う。

⑥定期的に電話等で、仕事のある無しにかかわらず、同僚と話をする時間を取る。

これも本当に大事にしていたことの一つなのだが、出勤した時は必ず同僚とランチに行く、また「最近どうよ?」のチャットメッセージを時間がある時に、自分の仕事におけるキーマンと頻繁に交わしていた。「最近どうよ?」のカジュアルな「問い」をトリガーに、相手の本音を引き出すのが目的。だって本音ベースで話をどれだけできるかが、仕事の生産性を決めるから。

ここまで書いてみて気づいたのだが、どうしたら自分の周囲の人が私と働くことで、ご機嫌でいてくれるか、に最大限気を配っていた気がする。「感情労働」の割合が高いと言えばそれまでだが、この「感情」のマネージこそが仕事の生産性を決めると思っている。何せ人とは「感情」の生き物なのだ。「この人と働きたい。」「この人のためになら無理でも何でもやってあげる。」「本当は自分の仕事じゃないけど君のためなら仕方がないな。」どうやったらこういう言葉を相手から引き出せるか。これが生産性を決めると思っている。そしてそう言って手伝ってくれる本人も、私を支援してくれることで、達成感や満足感を得られるような関わりを忘れてはならない。その辺りへの配慮ももちろん必要になる。



結局、週3回フルリモートワークをしていた私は、

■上司・同僚への感謝の気持ちで常に溢れていた。ゆえに周囲に少しでも貢献しようというポジティブな気持ちがあって、時間をやりくりしながら、オフィスワークの人と同じマインドセットで働いていたと思う。(そう思う努力も勿論した。)

■二人の子育てと家事のオンオフを切り替えながら、優先順位を意識しながら、仕事時間は自宅で集中して働けていた。

■定期的に上司と1 on 1をするルーチンができて、目標に向けてパフォーマンスを安定して出せるようになった。上司との信頼も気づけていた。
 

こんな良いことがあった一方で、どうしても孤立感・孤独感に苛まれることがある。この「感情」に陥った時の対処方法を自分なりに持っておくことがとても大事だと思う。何せこの孤立感・孤独感は働くエネルギーを奪っていくのだ。「私はお荷物だと思われているのではないか。」「周りからどう思われているのだろうか。」という感情は本当に恐ろしい。勝手に自分で思って勝手に悩んで落ち込む、こんなループに入ってしまうと、どんどんエネルギーが奪われていく。


私にとっての孤立感・孤独感の解消方法は、週2回数時間の出勤であり、定期的な上司との1 on 1であり、自分からストロークを出して、多くの人と意識して会話することだった。自分なりの対処方法を持っておくことは大事だと思う。ランチタイムに近くのジムに行くでも良いと思う。自分がご機嫌でいれる状態をしっかり作りながら、働くことが生産性をあげる上で最も効率が良いのだ。


こう書くと「いや、リモートワークでは成果さえ出せば、別に周囲とコミュニケーションなんて意識して取らなくて良いんじゃないの?」という声が出てくるかもしれない。


もしそういう意見があるとしたら、敢えてこういいたい。「あなたはチームワークの意味を理解していますか?」と。

会社とはあくまでも組織であり、組織で成果をだしてなんぼの共同体だと私は考える。一人で自分だけでゴールに向けて成果を出すことに集中したい、だから周囲は関係ない、は組織にとって残念だがお荷物だと思う。「あの人は一体何をやっているのだろう。」「あの人はマイペースだから近づきにくい」「あの人にこんなことを言っても聞いてくれないだろう」メンバーにそう思わせてしまうこと自体が、もう既に周囲にマイナスな影響を与えているのだ。これはリモートワーク時代に誰もが肝に命じておくべきことだろう。


「リモートであっても、心はリモートになってはいけない。」と。


ここまで書いてみて気づくのは、リモートワークという勤務形態そのものの問題ではなく、実は、その人の働くスタンスそのものが今まさに問われているのではないか、ということである。組織、チームで働く以上、我々は仲間との関係性をどう築いていくべきかを今まで以上に意識して働くことが求められると思う。「以心伝心、言わなくても想いは伝わる」「空気を読め」で、何も言わずにいては関係性も何も築けなくなる時代。特にアメリカでは「何も言わないは存在しないと同じ」「想いは言葉にしろ」と教育される通り、我々は、コミュニケシーションのスタンスをグローバルスタンダードに少しシフトしていく必要があるのかもしれない。「古き良き日本のコミュニケーションが・・・」なんて言っていたら、進化できず、置いていかれてしまう世の中だよ、今は。


話を本題に戻そう。リモートワークで生産性高く働くために欠かせないポイントとは何か。この「問い」に対する答えを今日は敢えてこう締めくくりたい。


「誰と、どんな距離感で、どう関わりながら仕事をすることで、自分のモチベーションが上がるのかを知っておくこと。」

 

自分の外側は、自分を幸せにしてくれない。自分の内側にしか答えはない、と気付き始めた私たちに今求められているのは、「自分を満たす方法を知ること」だろう。そして自分を満たすとは、自分にとって大切な人とのより良き関係性を築くこと、とも言えるかもしれない。
 

リモートワークの到来は教えてくれている。ちゃんと自分と対話しなさい、相手と対話しなさい、と。そういうことだと思う。

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